日本学術振興会 産学協力研究委員会 R024 電磁波励起反応場委員会

委員会活動

委員長挨拶

マイクロ波が注目を集めています。材料・化学分野では、ものづくりの革新的手法として、「従来の方法では不可能な物質創製、あるいは困難だった化学プロセスを実現できないか?」という要望に応えたいのです。加熱手法として捉えた場合でも、もっと電磁波の波としての性質を高度に利用して、従来の加熱手法では不可能な局所のみの急速加熱や加熱による接着などへの展開があれば、さらにこの技術は広まってゆくはずです。マグネトロンなど高出力発振器に加え、半導体発振器も充実してきた今は、マイクロ波革新技術を一歩進める好機です。委員長としては、この分野にもっと研究者に参入していただき、基盤研究から応用研究への研究者層を厚くし、企業の事業展開への応用開発を応援するために、本委員会を活性化してゆきたいと考えております。いろいろと試してみたい皆さまのアプローチをお待ちしております。

研究テーマ

共通基盤研究課題

  1. 物質と電磁波の相互作用の物理化学的解明
  2. 電磁波と物質の相互作用によって引き起こされる
     非平衡反応場を記述する物理化学の確立
  3. マイクロ波非熱的特殊効果の存在証明と機構解明
  4. 電磁波エネルギー利用化学に特化した化学工学の構築
  5. 物性データベース構築

領域依存型応用技術開発課題

  1. 材料、プロセッシング
  2. マイクロ波化学(有機合成・高分子合成、無機合成、生化学、
     ナノ粒子合成、マイクロ波抽出・蒸留、分析前処理、触媒反応、
     化学反応装置)
  3. 環境・エネルギー生産分野
  4. 製薬・創薬
  5. セラミックス技術
  6. 製鉄・製錬技術
  7. プラスティックリサイクル技術
  8. 装置、制御、計測技術、シュミレーション

活動内容

社会実装支援

マイクロ波加熱応用技術の社会実装を加速するため、学界シーズと産業界ニーズや、装置メーカーとユーザーメーカーのマッチング機会を増やす取り組みを行っています。委員同士の研究や技術、今後の展望について相互に紹介し意見交換を行うとともに、委員間の共同研究(クローズド)も進めています。公開ワークショップを開催し外部へ情報発信により、マイクロ波加熱応用技術の新たなニーズの発掘や普及を図っています。
 固体あるいは粉体を対象とするマイクロ波加熱現象に関する新しい知見が蓄積されてきました。その成果を活用することにより、従来すでにマイクロ波が利用されている加熱手法を革新します。従来の「電子レンジ的経験的設計手法による加熱技術」から、精密制御加熱による精緻技術へのマイクロ波利用技術転換を図ります。例えば、本手法により従来では困難であったバイオ材料、医薬品処理、などのよりデリケートな素材の乾燥・処理技術、さらに金属製錬、セラミック焼結、固体触媒作用制御をターゲットとして、社会実装を目指します。

マイクロ波化学の学理

 学界委員を中心に、未解明な点が多く残るマイクロ波による化学反応促進効果について、各分野において体系的な学理構築に取り組んでいます。特に、若手研究者および女性研究者養成を目的とした公的研究資金への応募母体の形成にも取り組んでいます。今後は、マイクロ波・電磁場関連研究に限らず物理・数理科学、計測工学など、より広い分野の人材を誘い入れ、マイクロ波化学の体系化を進める方針です。

委員会の体制

委員会等の開催状況

  1. 全体委員会
    電磁波加熱応用技術の期待される分野に関する講演会や、委員による電磁波加熱応用技術の将来を見据えた意見交換を行っています。

    開催実績:平成26年度(2回)、平成27年度(3回)、平成28年度(3回)、平成29年度(3回)、平成30年度(3回)

  2. 分科会(化学分科会、材料金属分科会、装置・計測分科会)、ワークショップ、見学会:分科会における研究会では、関連技術の課題発掘、マイクロ波加熱を用いたプロセスの応用事例に関する講演会および見学会、共通基盤研究課題に関連する講演会を開催しています。平成29年度からは、分科会を継続して、マイクロ波技術に関わる具体的な課題についてワークショップと見学会として開催しています。

    開催実績:平成26年度(8回)、平成27年度(5回)、平成28年度(5回)、平成29年度(5回)、平成30年度(3回)

  3. 年度活動報告の発刊:
    平成26年度~平成30年度講演要旨集を発刊し、全委員に次年度始めに配布しています。

  4. マイクロ波加熱半導体利活用委員会(平成27年-平成28年):
    近年新たなマイクロ波電源として注目される半導体発振器について、標準化および産業化に関わる課題抽出を行いました。標準化作業として、標準化に必要な仕様例を提示しました。

  5. 情報発信活動
    1. 日本電磁波エネルギー応用学会シンポジウム協賛(2015-2018)
       http://www.jemea.org/
    2. マイクロウェーブ展(MWE2017)ワークショップ「マイクロ波がいざなう産業プ
       ロセス革命
       Industrial Process Revolution by Microwave Chemistry」
       https://apmc-mwe.org/mwe2017/program/1129.html#WS03
    3. マイクロウェーブ展(MWE2018)ワークショップ「マイクロ波による持続可能な化学産業プ
       ロセスの実現」
       https://apmc-mwe.org/mwe2018/program/1130.html#WS17
    4. Asia-Pacific Microwave Conference 2018(技術協賛・“Special Session; JSPS 188
       Committee/JEMEA Special Session: Innovative Microwave Heating and
       Chemistry“の開催)
       https://apmc-mwe.org/apmc2018/program/reg02.html#TH2-103
    5. Journal of Japan Petroleum Institute 特集号61 巻, 2号−特集「マイクロ波化学プロセ
       ス技術の現在と明日」
       https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jpi/61/2/_contents/-char/ja